ピレネー山麓の司教都市に佇む、12世紀創建のロマネスク大聖堂
ラ・セウ・ドゥルジェイ旧市街の中心にあるサンタ・マリア大聖堂(Catedral de Santa Maria d’Urgell)は、カタルーニャで唯一となる完全なロマネスク様式を保つ大聖堂です。12世紀に完成したこの建築は、ピレネー山麓の内陸都市における宗教的・政治的中心としての役割を今に伝えています。

外観はロマネスク建築らしい均整の取れた構成が特徴で、重厚な石造のファサードと、水平性を意識した落ち着いたデザインが印象的です。華美な装飾に頼らず、構造そのものの美しさで空間を成立させている点は、同時代の宗教建築の中でも高く評価されています。併設される回廊は特に保存状態が良く、柱頭彫刻やアーチの連なりから、中世における修道建築の完成度の高さを読み取ることができます。
内部空間には、祭壇やフレスコ画などが残されており、宗教施設としての機能と芸術表現が密接に結びついてきた歴史を感じることができます。ロマネスク様式特有の抑制された光の入り方や、厚みのある壁によって生まれる静けさは、観光施設というよりも、現在も信仰の場として使われ続けている建築であることを強く意識させます。
この大聖堂が持つもう一つの重要な側面が、アンドラ公国との関係性です。サンタ・マリア大聖堂の司教は、現在もアンドラ公国の共同元首の一人が務めています。この制度は中世にまで遡るもので、宗教権力と世俗権力が複雑に絡み合っていた時代背景を反映しています。大聖堂は単なる宗教建築ではなく、カタルーニャとアンドラ公国を結ぶ政治的・歴史的な結節点としての役割も担ってきました。

大聖堂の周囲には旧市街が広がり、石畳の通りや広場が連続しています。建築単体を目的地として訪れるだけでなく、周辺の街並みとあわせて歩くことで、司教都市として発展してきたラ・セウ・ドゥルジェイの都市構造を立体的に理解することができます。旧市街はコンパクトにまとまっているので、徒歩での散策に適しています。旧市街の東側には無料駐車場も整備されており、クルマを停めて旧市街と大聖堂を訪れる動線もとてもわかりやすいものになっています。
Location / Address
25700 La Seu d’Urgell (Alt Urgell), Lleida
photo: ©plusroadtrip
