ラ・セウ・ドゥルジェイ旧市街を一望する9世紀の城塞を受け継ぐホテル
ピレネー山麓の内陸都市ラ・セウ・ドゥルジェイ。その市街地を見下ろす丘の上に、エル・カステイ・デ・シウタ(El Castell de Ciutat)は建ちます。9世紀に築かれた城塞の跡地という立地は、このホテルに単なる眺望以上の意味を与えており、ここは都市と山岳地帯を見渡す、歴史的にも戦略的にも重要な場所だったことを伝えています。
現在のホテルは1969年、地元の名家タピエス一家によって再生されたもの。城塞としての記憶を尊重しながら、滞在のための機能を重ねています。その姿勢は、過剰な演出を避け、建物と風景の関係性を第一に考えた設計に表れており、石造の構えは重厚ですが、内部に足を踏み入れると、光と余白が印象的な落ち着いた空間が広がっています。



客室は木の温もりを生かしたシンプルなデザインで、多くの部屋にバルコニーが設けられています。朝にはラ・セウ・ドゥルジェイの街並みが柔らかな光に包まれ、天候が良ければカディ=モイシェロ自然公園の山並みまで視界に入ります。
館内のレストラン「Tàpies」は、ホテルの成り立ちと同様、土地への敬意を基盤としています。地中海とカタルーニャの食文化を土台に、素材の輪郭を生かした料理を提供し、650種以上を揃えるワインセラーがその体験を支えています。食事を目的に訪れるゲストも多く、ホテルが単なる宿泊施設に留まらない理由のひとつになっています。



屋内プールやサウナ、トリートメントルームを備えたスパも充実しており、ハイキングやサイクリングなどアウトドアの後に身体を整える場としてもおすすめです。周囲の自然と切り離されたリラクゼーションではなく、山で過ごした時間の延長として組み込まれている点が印象的です。
カタルーニャ・グランドツアーを巡るロードトリップでは、エル・カステイ・デ・シウタ(El Castell de Ciutat)は極めて実用的な拠点でもあります。なぜならピレネー横断ルートの前後に位置し、内陸部と山岳地帯を結ぶ要所にあたる場所にあるからです。城塞の記憶を引き継ぎながら、現代の旅人を迎え入れる場所であるエル・カステイ・デ・シウタ(El Castell de Ciutat)は、ラ・セウ・ドゥルジェイという町の地理と歴史を、一夜の滞在で理解させてくれる稀有な存在です。
