野鳥と自然が織りなすヨーロッパ屈指の美しさを誇る湿地帯
カタルーニャ州の南端に位置するデルタ・デル・エブロ自然公園(Parc Natural del Delta de l’Ebre)は、エブロ川が地中海へと注ぎこむ河口に形成されたスペイン最大級の湿地帯です。面積は約320㎢と広大で、海、潟湖、水田が織りなす独特の景観が広がり、ヨーロッパでも屈指の野鳥の楽園としても知られています。このエリアには年間を通じて360種以上の鳥類が飛来するといわれ、3〜10月頃には淡いピンク色のフラミンゴが群れで羽を休める姿を見ることができます。水辺に立つだけで、生命が息づく湿地帯ならではの静かな迫力を感じられます。

この地域は、車で景観を楽しめるルートも充実しています。なかでも人気が高いのが、プラヤ・デル・トラブカドール(Platja del Trabucador)と呼ばれる細長い砂州です。海と潟に挟まれた砂浜の一本道をクルマで進むという、スペインでも貴重な体験ができる場所で、目の前に映る地平線と水平線がひとつにつながるような不思議な光景に出会えます。夕暮れどきには水面が金色に染まり、日没の光が砂州の先まで続いていくように見えるため、ロードトリップのハイライトとして訪れる旅行者が多くいます。
デルタ・デル・エブロは、ただ景観が美しいだけの場所ではありません。湿地の恵みを活かした暮らしが今も根づいており、とりわけ米づくりはこの地域を象徴する産業です。水田は季節によって表情を変え、春は水鏡のように空を映し、秋には黄金色の稲穂が風に揺れます。収穫期に車で走れば、どこまでも続く稲穂の波に包まれるような光景を楽しむことができます。また、デルタ産の米や塩、地元の野菜、潟で獲れる魚介など、土地ならではの味覚を提供するレストランも数多くあるため、食を通して地域の自然を感じられるのも魅力です。


この自然公園は、観光と環境保全を両立させる地域を評価する「EDEN(European Destinations of Excellence)」にも選ばれており、持続可能な観光モデルとしてヨーロッパ全体から注目されており、湿地帯の繊細な生態系を守るための取り組みが進められています。公園内の各所に展望ポイントや野鳥観察拠点が整備されているので、初めての旅行者でも安心して回ることができます。タラゴナから車で約1時間とアクセスも良く、カタルーニャ南部のドライブ旅に自然と文化の深みを与えてくれる場所です。
Location / Address
photo: ©plusroadtrip ©Catalan Tourist Board
