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Aqüeducte de les Ferreres(ラス・ファレーラス水道橋)
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Section 1 (Barcelona – Tarragona), Tarragona

Aqüeducte de les Ferreres(ラス・ファレーラス水道橋)

ローマ土木技術と自然が調和する古代水道橋

AP-7号線をタラゴナ方向に進んでいくと、木々の切れ間から突然その姿を見せる巨大な石造アーチ。ラス・ファレーラス水道橋(Aqüeducte de les Ferreres)は、ローマ時代の土木技術を現代に伝える数少ない遺構として知られています。全長217m、高さ27mという迫力ある上下2層のアーチ構造は、約2000年前の紀元1世紀頃に建設されたと考えられており、タラゴナがローマ帝国の重要都市だったことを物語る象徴的な建築物です。

この水道橋は別名「悪魔の橋(Pont del Diable)」とも呼ばれています。あまりに精密で美しい構造ゆえ、人知を超えた存在が作ったのではないかという伝承が生まれたことからこのような別名が付けられたとも言われています。ローマ人が残した技術の確かさと、自然の中で静かに佇む姿が相まって、訪れる人をどこか神話的な空気へと引き込んでいきます。

構造は上下2段に並んだアーチが規則的に連なり、重力や水圧を巧みに計算しつつ、タラゴナの街まで水を運ぶための高度な技術が用いられています。部分的に補強や修復が行われているものの、オリジナルのアーチが数多く現存しており、当時の施工技術を間近で観察できる貴重な場所です。

この水道橋の魅力は、遺跡そのものだけでなく「自然との調和」にもあります。タラゴナ中心部の遺跡群と比べ、ここは森に囲まれた静かな環境にあり、遺跡と自然がゆっくりと溶け合うような独特の景観をつくり出しています。アーチの上部は歩いて渡ることもでき、眼下に広がる緑の谷とアーチの影が織りなす風景は、訪れる時間帯によって印象が大きく変わります。

タラゴナ旧市街から車で約10分の場所にあり、AP-7号線沿いに駐車スペースが整備されています(ただし、車上荒らしも多く報告されている場所なので、2名で行くなら1名は車に残り、交互にその美しい橋を眺めに行くことをおすすめします)。ラス・ファレーラス水道橋は、世界遺産「古代ローマ遺跡群のタラゴナ」の一部として、円形闘技場や城壁とあわせて巡るルートにも組み込みやすく、ドライブで気軽に訪れることができる必見の遺構です。

Location / Address

Aqüeducte de les Ferreres
N-240 (Valls a Lleida)
43006 Tarragona (Tarragonès)

photo: ©plusroadtrip ©Catalan Tourist Board