二股に分かれた山容が生み出すカタルーニャの象徴的な景観
ピレネー山脈の南端に位置するペドラフォルカ(Pedraforca)は、カタルーニャを象徴する名峰のひとつです。標高2,506mの山は、まるで大きな鉤爪のように二股に分かれた独特の山容をもち、そのシルエットは遠くからでも一目でわかります。古くから旅人や芸術家、登山家たちを魅了してきたこの山は、カタルーニャの自然の象徴として多くの人々に親しまれています。
山のふもとには小さな村サルデス(Saldes)があり、周辺は自然公園として保護されています。ここを通るB-400号線は、ペドラフォルカの魅力を間近に体感できる絶景ドライブルートです。曲がりくねった山道を車で走ると、角度を変えるたびに双峰の姿が現れ、そのたびに異なる表情を見せます。ある地点からは鋭く切り立った岩峰が空を突き抜けるようにそびえ、また別の地点からは二股の峰が優雅な曲線を描くように重なり合うなど、まるで山自体が生きているかのような印象を受けます。ロードトリップの途中で車を停め、谷間や展望ポイントからその姿を写真に収めるのもおすすめです。

ペドラフォルカは登山の対象としても人気があります。双峰を結ぶ鞍部を経由する登山ルートは変化に富み、経験豊かな登山者にとって挑戦しがいのあるコースと言われています。一方で、麓には家族連れや初心者でも楽しめるトレッキングコースも整備されており、訪れる人のレベルに合わせた自然体験が可能。秋には山肌が紅葉に染まり、冬は雪をまとった荘厳な姿を見せ、四季折々に異なる風景を楽しめます。
また、この山は地元の伝承や文化とも深いつながりをもっています。二股に分かれた特徴的なシルエットは、古くから神秘的な存在として語り継がれ、カタルーニャの詩人や画家たちの創作の題材にもなってきました。カタルーニャを代表する画家のひとりであるパブロ・ピカソもゴソルでの滞在時にこの山を作品のなかで描いています。その独自の姿は、単なる山岳景観を超えて、カタルーニャのアイデンティティを象徴するランドマークといえるでしょう。

アクセスはバルセロナから車で約2時間。B-400号線を中心に周回ルートが整備されており、途中には展望台やハイキング拠点となる小さな村も点在しています。周辺は観光開発が過度に進んでいないため、手つかずの自然と素朴な村の風景がそのまま残っており、都会では味わえない静けさに包まれた時間を過ごせます。
二股に分かれた独特のシルエットを追いかけながら走る道のりは、自然の力強さと神秘を同時に感じさせてくれる特別な体験となり、この地でのロードトリップにおいて忘れがたいハイライトのひとつでになるはずです。
Location / Address
photo:©plusroadtrip